口臭や歯石がひどい犬には「口腔トリコモナス」が原因かもしれません。
歯周病菌を口の中で増殖させないことが大事ってみんな知ってますよね。
だから、出来るだけ歯磨きをして人間も犬もお口の中を清潔にって心がけます。
それでも、治らない・・・ですよね。。
わが家の愛犬、クレマも同じでした。
わが家に来た時から酷い歯石に悩まされていました。一度は無麻酔で頑張って歯石を取ったもののすぐに歯石はまた復活。
また、歯磨きにスケーラー、歯石を取るという「リーバスリー」というスプレー、「デンタルバイオ」という乳酸菌の錠剤、水に入れるタイプの「マウスクリーナー」。
色々と試しますが、これまでの努力もむなしくクレマの下の前歯はもう犬歯以外は抜けました。それと、奥歯ももう4本ほど抜けてしまっています。
何をしても改善しないし、歯も徐々に抜けます。
あるとき、歯茎に豆粒のようなポリープができました。
これはイカン!早速病院に連れて行きます。
自分でも色々調べては見ていたので、『エプリス』という良性の腫瘍ではないかな?と思っていたところ、やはり先生もエプリスでしょうとのこと。
今のところは特に様子をみるしかないという診断でした。
しかし、それ以上に気になっていたのは以前からの口臭。
歯も汚く、歯茎が下がって惨めなことになっているので何とかならないかと尋ねてみます。
すると、先生は「悪くなった歯を全部抜く」というのが大方の今の治療法でしかないとのこと。
ほとんどの先生がこういう診断になると思います。
でも、クレマちゃん。すでに推定12歳と高齢です。麻酔を長時間かけるということは高齢犬にとって高いリスクとなります。
どうしたものか…「ご家族で話し合ってみてください」と言われ、一旦帰ります。
悪い歯を抜くとなると、ほとんどなくなるんじゃない?
そうすると、人間とおなじで一気に食事が入らなくなって、老化するのではないか?
それに、麻酔中に万が一のことがあれば、そこでクレマの犬生が終わってしまうこともある。。。なんて考えたくありません。どうしたものか夫と悩みます。。。
その話を母にもしていました。すると、母が行っている動物病院の先生は口腔専門で、病院には学会で発表した資料とか色々置いてあったから一度電話してみたら?というのです。
口腔専門なら行かない手はない!電話を掛け、簡単にこれまでの経緯を先生にお話しします。
すると、「抜歯するということも治療法としてはできますが、年齢の事を考えるとどうかと思うのと、口臭がある犬は歯周病を治さないとさらに歯の状態が悪化していくので、とりあえず歯周病の検査をしてみてはどうか」とおっしゃいます。
これまでも色々試し、歯ブラシをいくらしても治らないんですもの。
とにかく、どうにかしてあげたいのでこの検査をしてみますと伝えると、
「口の中の歯垢を高性能の顕微鏡で検査するのにお金がかかるのですが、それだけご了承いただけますか?」と聞かれます。
聞くと、やはりお高い検査が必要な模様。
顕微鏡検査に8000円ほど。検査次第で2000円ほどのお薬代。
お薬を飲んだ後に再検査で確認する。という流れ。
なーんだ!一万円くらいで済むなら、とにかくまずはその検査をしてみます!
当日、予約時間に病院へ行きますと、サバサバとした私と同じくらいの年齢の先生。
先生はクレマの歯を一生懸命に診察します。
そして、クレマの歯垢を数か所採取。
これを”お高い顕微鏡”で撮影し動画を撮って、口の中にどんな細菌がいるのかを確認するとのこと。
しばらくすると、パソコンを持って来られました。
「ハイ。これがクレマちゃんの口の中ですよ~。一杯いますね~。」
え、何がそんなにいるのよ、、その画像、もにゃもにゃムニュムニュ、、騒がしい画像なんです。
「このチュルチュルしたのはスピロヘータ、よく見られる菌ですよ。でもね、厄介なのが”口腔トリコモナス”というもので、抗生剤を飲まないとこれは死滅しないんです。で、クレマちゃんですが、ここに居ますね~。」
寸胴な芋虫のような、もよ~っとしたのが動いています。
間違いなくこれが「口腔トリコモナス原虫」。
口臭や歯周病が歯石を取っても、歯磨きをしててもなかなか治らない場合に、この「口腔トリコモナス原虫」が口の中に寄生していることが多いらしいのです。
先生はそれを発見したらしく、一般にトリコモナス治療に有効な「メトロニダゾール」という抗生剤で犬や猫にも治療を施すと口臭や歯周病が一気に改善したそうなんですね。
『トリコモナス』は腸、膣、口腔と3種類ほどあるそうなのです。この「口腔トリコモナス」が口の中にいる場合の症状はやはり口臭と歯周病。
これは人間も同じで歯医者さんでも治療してくれるそうです。
で、クレマちゃんも早速この「メトロニダゾール」で治療します。
きっちり8日間、同じ時間にお薬を1錠を投与します。
すると、2、3日経った頃、明らかにクレマちゃんの口の匂いが変りました。
「ん??臭くない。」
あんなに「くさっ!!」と言われたクレマちゃんの口の中が・・・臭くない!
そして、8日間の投与を終え、投与後1週間経ってもう一度、歯垢を採取し顕微鏡で確認します。
すると。。この前見た画像とは明らかに変わりました。
画像が「シーン…。」としているのです。前みたいにチュルチュルむにゅむにゅがいません。
すると先生、「最初は凄かったですよね。。これはね、人間にも移りますから気を付けないといけませんよ。患者さんの中には犬に平気で口をベロベロとなめさせちゃったりするでしょ。だから、人から犬、犬から人、そして旦那さんから奥さんに…ってなってたりするんです。」
ベロベロが平気な方で、口が臭くて、歯周病に悩んでいる方は早めに歯医者さんに相談されてはいかがでしょうか。
クレマちゃんの歯周病との戦いは終わったかに見えますが、そもそもの「麻酔をして抜歯し治療する」というのは棚上げしていました。
そのことを先生と話し合いますが、やはり、年齢的なことを考えるとこのまま歯ブラシを頑張りながら付き合うって事にしました。今後歯が抜けることがあるかもしれませんが、もう仕方がないです。
毎日、2回の食後に歯ブラシを続けていますが、今のところ、口臭は再発はしていません。
ちなみに、良性腫瘍と思われた「エプリス」はいつの間にか無くなっていました。
人間と同じで子供のころからちゃんと歯を大切にしていたら、こんなことにはならないと思うのです。
クレマちゃんは我が家に来た時にすでに致命的に歯が悪くなっていましたが、若い犬ならまだ間に合います。犬も歯は大事です。人間と同じではないでしょうか?
ちょっと口臭いな~って思ったら、犬も人間もちゃんとお医者さんに見てもらうことをお勧めします。
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